Works
Splinters
Splinters, 2009 SculptureMarble, graniteDimensions variable “他の恒星のもつ惑星の存在が私を興奮させるのは、その惑星がもち得るだろう生物の存在様式、思考様式についてあれこれ荒唐無稽な考えを数百重ね、そして暗い想像力を果てしなくふくらませて倦むところを知らないからである。” ―埴谷雄高「宇宙ばか」 宇宙に浮いている惑星の石は、どんな硬さなのだろう。どんな形をしているのだろう。それを想像しながら地球の石に彫る事がこの作品の制作動機であった。 月は、私たちにとって一見なじみ深い存在であるが、実はその全貌を知らない。身近にあるようで、私たちは月の実際を詳しく見た事がない。月がどのような色をしていて、どのようなテクスチャーでどのような大気に包まれているのか。想像で埋めながら月という存在を理解している。 月にある石は多分地球にはないだろう。だから、月の表面のテクスチャーを、衝突の跡を、凹凸を地球上で再現することは不可能だ。だが、それを想像し、地球の石に刻む事は可能だ。この作品は月への想像を巡らした探求の痕跡である。 What excites me about the existence of planets orbiting other stars is that I never tire of layering hundreds of...
Splinters
Splinters, 2009 SculptureMarble, graniteDimensions variable “他の恒星のもつ惑星の存在が私を興奮させるのは、その惑星がもち得るだろう生物の存在様式、思考様式についてあれこれ荒唐無稽な考えを数百重ね、そして暗い想像力を果てしなくふくらませて倦むところを知らないからである。” ―埴谷雄高「宇宙ばか」 宇宙に浮いている惑星の石は、どんな硬さなのだろう。どんな形をしているのだろう。それを想像しながら地球の石に彫る事がこの作品の制作動機であった。 月は、私たちにとって一見なじみ深い存在であるが、実はその全貌を知らない。身近にあるようで、私たちは月の実際を詳しく見た事がない。月がどのような色をしていて、どのようなテクスチャーでどのような大気に包まれているのか。想像で埋めながら月という存在を理解している。 月にある石は多分地球にはないだろう。だから、月の表面のテクスチャーを、衝突の跡を、凹凸を地球上で再現することは不可能だ。だが、それを想像し、地球の石に刻む事は可能だ。この作品は月への想像を巡らした探求の痕跡である。 What excites me about the existence of planets orbiting other stars is that I never tire of layering hundreds of...
Leaves in South Korea
本シリーズは、2012年に韓国国立現代美術館チャンドン・スタジオでのレジデンス・プログラムに参加中に制作したものである。ロンドンで始めた落ち葉をアクリル板の上に描くコンセプトを引き継ぎ、韓国の絵の具を用いて制作した。アクリルガッシュに近い絵の具にリンシードオイルを混ぜて描写した。韓国の絵の具特有のシックな色合いを強調し、枯れ葉の腐敗したテクスチャーや葉脈を抽象化した。同時に、アクリル板の上で反発する油と絵の具の反応を葉っぱのテクスチャーに応用することを目指した。 今、思い出すと当時、日韓の関係は緊迫しており、韓国は大統領選を控えていた。政治的に不安定な日韓の関係の中で、このレジデンス・プログラムに参加できたことは私の人生において忘れ難い経験である。また、このレジデンス・プログラムに参加していた他の国のアーティストとの共同生活も刺激的であった。伊藤博文と彼を暗殺した安重根、そして私の誕生日が全く同じ日であったのを奇妙にも嬉しく感じたものだった。 This series was created during my participation in the residency program at the National Museum of Modern and Contemporary Art Changdong Studio in 2012. It continued the...
Leaves in South Korea
本シリーズは、2012年に韓国国立現代美術館チャンドン・スタジオでのレジデンス・プログラムに参加中に制作したものである。ロンドンで始めた落ち葉をアクリル板の上に描くコンセプトを引き継ぎ、韓国の絵の具を用いて制作した。アクリルガッシュに近い絵の具にリンシードオイルを混ぜて描写した。韓国の絵の具特有のシックな色合いを強調し、枯れ葉の腐敗したテクスチャーや葉脈を抽象化した。同時に、アクリル板の上で反発する油と絵の具の反応を葉っぱのテクスチャーに応用することを目指した。 今、思い出すと当時、日韓の関係は緊迫しており、韓国は大統領選を控えていた。政治的に不安定な日韓の関係の中で、このレジデンス・プログラムに参加できたことは私の人生において忘れ難い経験である。また、このレジデンス・プログラムに参加していた他の国のアーティストとの共同生活も刺激的であった。伊藤博文と彼を暗殺した安重根、そして私の誕生日が全く同じ日であったのを奇妙にも嬉しく感じたものだった。 This series was created during my participation in the residency program at the National Museum of Modern and Contemporary Art Changdong Studio in 2012. It continued the...
Untitled
Untitled, 2013 Digital print この作品は、アクリル板に透明絵の具を使って描写した絵をオーバーヘッド・プロジェクターで投影し、それを写真で撮影しデジタル加工を加えたものである。当時、1つのコンセプトからどれだけ多様な表現を構築することができるかに興味を持っていた。根底にあったのは細胞や、雪の結晶を顕微鏡で覗いたときに見える科学的でミクロなイメージである。特に、花粉などを顕微鏡で観察すると、自然界の物質がとても複雑な形と強烈な色合で存在していることが、私には衝撃的であった。またアーネスト・ヘッケルや、カール・ブロッシュフェルトといった作家の作品も、このシリーズを制作するうえでとても大きな影響を与えてくれた。一見美しいと思っている身の回りにあるものを顕微鏡で見ると、時に恐ろしく奇妙でショッキングなイメージを見せることがある。その美しさの後ろに隠れた自然界独特の色や形に生物の本質を見るのである。 This work involves projecting an image painted with transparent paints on an acrylic sheet using an overhead projector, photographing the projection, and then digitally enhancing the...
Untitled
Untitled, 2013 Digital print この作品は、アクリル板に透明絵の具を使って描写した絵をオーバーヘッド・プロジェクターで投影し、それを写真で撮影しデジタル加工を加えたものである。当時、1つのコンセプトからどれだけ多様な表現を構築することができるかに興味を持っていた。根底にあったのは細胞や、雪の結晶を顕微鏡で覗いたときに見える科学的でミクロなイメージである。特に、花粉などを顕微鏡で観察すると、自然界の物質がとても複雑な形と強烈な色合で存在していることが、私には衝撃的であった。またアーネスト・ヘッケルや、カール・ブロッシュフェルトといった作家の作品も、このシリーズを制作するうえでとても大きな影響を与えてくれた。一見美しいと思っている身の回りにあるものを顕微鏡で見ると、時に恐ろしく奇妙でショッキングなイメージを見せることがある。その美しさの後ろに隠れた自然界独特の色や形に生物の本質を見るのである。 This work involves projecting an image painted with transparent paints on an acrylic sheet using an overhead projector, photographing the projection, and then digitally enhancing the...
Photographs
Photographs、2013 韓国でレジデンスプログラムに参加していた2012年頃、インスタレーションの作品とペインティングのシリーズの制作の傍、私はよく写真を撮りに行った。特に興味を持ったのは石や氷、といった自然の物質であった。韓国出身のもの派の代表的作家として知られるリー・ウーファンの思想に傾倒していたのも理由の1つかもしれない。また、同時期に制作していた蝶々のシリーズで追求していた物質の観察標本といったイメージも、この写真の構図によく現れていると思う。 ロンドンで撮影した家や木もそういった考えを意識しながら撮影した。一つの物体のもつ存在感に、もう一度しっかりと向き合いたいと考えていたのだ。 この作品の数枚は、オーストリアパースで行われた。サイレント・オークションに出品し、財団に寄付した。当時のコンセプトは、ウルフエマーソンからとったと言う文章である。 Around 2012, when I was participating in a residency program in Korea, I often went out to take photographs alongside creating installation works and a...
Photographs
Photographs、2013 韓国でレジデンスプログラムに参加していた2012年頃、インスタレーションの作品とペインティングのシリーズの制作の傍、私はよく写真を撮りに行った。特に興味を持ったのは石や氷、といった自然の物質であった。韓国出身のもの派の代表的作家として知られるリー・ウーファンの思想に傾倒していたのも理由の1つかもしれない。また、同時期に制作していた蝶々のシリーズで追求していた物質の観察標本といったイメージも、この写真の構図によく現れていると思う。 ロンドンで撮影した家や木もそういった考えを意識しながら撮影した。一つの物体のもつ存在感に、もう一度しっかりと向き合いたいと考えていたのだ。 この作品の数枚は、オーストリアパースで行われた。サイレント・オークションに出品し、財団に寄付した。当時のコンセプトは、ウルフエマーソンからとったと言う文章である。 Around 2012, when I was participating in a residency program in Korea, I often went out to take photographs alongside creating installation works and a...
Contingentia
Contingentia, 2014 PaintingOil, glass pigment, acrylic board300x300mm (each) InstallationOil, glass pigment, acrylic board, overhead projectorDimensions variable Contingentiaとは、「偶然」という意味である。この言葉を展覧会のタイトルにしたのは、九鬼周造の「偶然性の問題」を読んだのがきっかけであった。 この本の中で、九鬼周造は、「必然」の反対を「偶然」と考え「意図」の反語として「不図」という言葉を用いている。図らずともという意味を持つこの言葉は、現在では、ふとした瞬間に・・・や、ふと思いついた・・・等と用いられることが多い。このシリーズで私が追求していたことも物質と物質が起こす偶然の化学反応であった。それは人間の意図を超えて起こる現象でもあり、完全にコントロール出来ないことがある。 その現象の不思議をオーバーヘッド・プロジェクターを用いて可視化し、芸術作品として提示することが目的であった。芸術表現において作者の主体性と客体性は、哲学的大きなテーマとしてある。自己組織化する化学反応を芸術表現として取り入れることは可能であろうか。アクリル板に凝固した化学反応と、まさに今、自己組織化している物質と物質をプロジェクターを通して体験してもらう試みであった。 Contingentia means "chance" or "contingency." I chose this word as the title of...
Contingentia
Contingentia, 2014 PaintingOil, glass pigment, acrylic board300x300mm (each) InstallationOil, glass pigment, acrylic board, overhead projectorDimensions variable Contingentiaとは、「偶然」という意味である。この言葉を展覧会のタイトルにしたのは、九鬼周造の「偶然性の問題」を読んだのがきっかけであった。 この本の中で、九鬼周造は、「必然」の反対を「偶然」と考え「意図」の反語として「不図」という言葉を用いている。図らずともという意味を持つこの言葉は、現在では、ふとした瞬間に・・・や、ふと思いついた・・・等と用いられることが多い。このシリーズで私が追求していたことも物質と物質が起こす偶然の化学反応であった。それは人間の意図を超えて起こる現象でもあり、完全にコントロール出来ないことがある。 その現象の不思議をオーバーヘッド・プロジェクターを用いて可視化し、芸術作品として提示することが目的であった。芸術表現において作者の主体性と客体性は、哲学的大きなテーマとしてある。自己組織化する化学反応を芸術表現として取り入れることは可能であろうか。アクリル板に凝固した化学反応と、まさに今、自己組織化している物質と物質をプロジェクターを通して体験してもらう試みであった。 Contingentia means "chance" or "contingency." I chose this word as the title of...
Chimeric Town
Chimeric Town, 2012 Public projection in Tokushima, JapanOil, glass pigment, acrylic board, overhead projectorDimensions variable このシリーズは、オーバーヘッド・プロジェクターを野外に持ち出し、投影したものである。プロジェクターが映し出す有機的な形や色は、アクリル板の上に透明絵の具を用いて描写したものだ。そのイメージが建築や自然の中に投影されることで、日常の風景が一部、幻想的なものになる。2012年に韓国国立美術館のレジデンス・プログラムで制作した作品だ。このコンセプトを基に徳島県でもいくつかのプロジェクションを行い撮影した。日常的な景色を変容させる試みは、グラフィティーに通じるものがある。しかし、プロジェクションは一時的なものであり、その時の気候や天気によって現れるイメージが異なる。その為、全く同じイメージを再現することはできない。雨が降ると水の表面の映像が反射し、更に幻想的な表情を見せてくれた。 This series involves taking an overhead projector outdoors and projecting images. The organic shapes...
Chimeric Town
Chimeric Town, 2012 Public projection in Tokushima, JapanOil, glass pigment, acrylic board, overhead projectorDimensions variable このシリーズは、オーバーヘッド・プロジェクターを野外に持ち出し、投影したものである。プロジェクターが映し出す有機的な形や色は、アクリル板の上に透明絵の具を用いて描写したものだ。そのイメージが建築や自然の中に投影されることで、日常の風景が一部、幻想的なものになる。2012年に韓国国立美術館のレジデンス・プログラムで制作した作品だ。このコンセプトを基に徳島県でもいくつかのプロジェクションを行い撮影した。日常的な景色を変容させる試みは、グラフィティーに通じるものがある。しかし、プロジェクションは一時的なものであり、その時の気候や天気によって現れるイメージが異なる。その為、全く同じイメージを再現することはできない。雨が降ると水の表面の映像が反射し、更に幻想的な表情を見せてくれた。 This series involves taking an overhead projector outdoors and projecting images. The organic shapes...